【2000万円問題】⑤証券投資に関する金融リテラシーをどうやって高めるか?
こんにちは。
「2,000万円問題」シリーズの第5弾になります。
一応、今回で最後になりますが、この問題は(年金問題とも非常に関連性が強く)、私の関心のコアに近いテーマですので、これからも引き続き考えていきたいと思っています。
前回は、「2,000万円問題」で、若者を中心に投資や運用を始める人たちが増えてきたといっても、はやりまだまだアレルギーを感じる人たちも多い。
その要因として、行動経済学で言うところの「損失回避」的な意識もあり、また、金融リテラシーの低さもあるのではないか、ということをお伝えしました。
今回は、それでは金融リテラシー(ここでは、株式や投資信託等の証券投資に関することに限ります。)を高めるにはどうすればいいのか、ということについて体験を踏まえて考えてみたいと思います。
金融リテラシーは、知識を得て適切な判断をするということですから、知識と判断の2つに分けて考えてみます。
1 「知識」を得るにはどうしたらよいか?
(1)FP資格の勉強をする。
私の場合は、定年退職の際、自らの「お金」に関する知識があまりにも不足していることに愕然としたことがきっかけで、ファイナンシャル・プランナー(FP)資格の勉強を始めました。
資格取得後は、日本FP協会の会員となり、資格継続研修やセミナー、協会支部のスタディ・グループ(SG)の勉強会などに参加しています。
「お金」に関する知識を得る方法として、FPの勉強は最適ではないでしょうか。
資産運用をはじめ、ライフプラン、年金、保険、不動産、税金、相続など、広い範囲の知識を得ることができます。
(2)セミナーなどに参加する。
行政や銀行、証券会社等が開催しているセミナー(参加費無料)を聴きに行くということはいかがでしょうか。
私は、ときどき野村證券の支店で行われるセミナーに参加しています。
開催日時やセミナーのテーマなどをホームページで確認することができます。
証券会社等と取引がないまったくの一般の人でも参加できると思います。
(3)本、新聞を読む。
投資や運用に関する本はたくさん出ています。ネットでも、初心者向けのものが紹介されています。
ただし、「こうすれば儲かる本」は止めておいた方がよいと思います。
その本の著者は、確かに本に書かれている方法で大きな利益を得たかもしれませんが、たまたま利益を得た方法を書いているだけで、その方法に一般性があるかどうかはわかりません。
私は、日本経済新聞を読んで、気になった記事はスクラップにしています。
毎週土曜日に掲載される見開き2ページの「M&I(Money&Investment)」が私の大いなる勉強材料です。
しかし、今でも記事の中に知らない用語がたくさん出てきますし、内容をよく理解できない記事も多くあります。
2 適切な「判断」をするにはどうしたらよいか?
(1)自分で考えて自分で判断する。
私は、定年退職を迎えるときに、「定年」をテーマにした本(いわゆる定年本)を何冊か読みました。
その中のいくつかの本に共通して書かれてあったことに、
退職金の振込口座のある銀行の窓口で、投資信託や外貨建て生命保険などを勧められる場合があるが、言われるがまま購入してはいけない。銀行はお客の利益よりも自行の手数料収入を優先している。
という趣旨のことがありました。
私はこの教えをしっかり胸に刻んで退職の日を迎えたものです。
投資信託の何やら、外貨建ての何やらをわからないうちは手を出してはいけません。
自分自身で仕組みを理解して初めて購入について検討しましょう。
定年本なんかに、危ない証券等について書いてありますので参考にするとよいでしょう。
投資信託には、原則3種類の手数料があります。
外貨建ての場合、円→外貨、外貨→円の往復の為替手数料がかかります。
その他、とにかくわからないものには手を出さず、手数料についても確認するようにしましょう。
また、上記で触れました証券会社等のセミナーでは、経済情勢の説明に合わせて、推奨銘柄の紹介がある場合があります。
単純な私は、「つい、その気」になりやすいのですが、証券銘柄の購入は慎重にしましょう。
証券会社の勧める銘柄を買って損した人の話は掃いて捨てるほどあります。
(2)実践は「投資金額は限定」「長期・分散・積み立て」で慎重に始めよう。
いくら正しい知識を得たとしても、投資・運用を実践しないことには始まりません。
実践するにあたって重視すべきこととして、よく言われるのが「投資・運用する金額を限定すること」と「長期・分散・積立」です。
投資金額は、万が一、失くなっても生活に困らず、仕方ないと思える(我慢できる)金額、例えば30万円とか、50万円とかの範囲内で始めてみましょう(なお、株式なんかは、投資した金額が全部なくなることはありません。)。
「つみたてNISA」なら非課税の投資額の枠は年間40万円です。
投資・運用に慣れてきて、状況がわかってきたら徐々に金額を増やしていけばよいのではないでしょうか。
何に投資するかについては、年齢によって違ってくるでしょうが、例えば、私のような定年退職者であれば、「長期・分散・積立」が揃っている「つみたてNISA」はいかがでしょう。
対象銘柄には、金融庁のチェックが入っていますし、取引での利益(儲け)が非課税という恩恵にあずかることもできます。
若い人なら、「つみたてNISA」に加えて「イデコ」(個人型確定拠出年金)の活用も検討しましょう。
自分の判断で運用する銘柄を選び、老後の年金を用意することになります。
(3)損して覚える。経験知を積む。
しばらくしたら、個別株や投資信託等への投資・運用も実践してみましょう(あくまでも限定した金額内で)。
私も勉強を兼ねて(限定された金額の範囲で)、日本株、外国株、投資信託、債券の運用をしていますが、株式なんかは損失、損失、また損失、たまに利益という状況です(と言いましても、トータルでそんなに損失を出しているわけではありませんが)。
株式市場がどう動くかは、要するに「わからない」です。
ですから、その点では、ギャンブル性もあると思います。
本当なら、自分の投資の状況、銘柄ごとの買付と売却の期日、単価、数量、理由などについての記録を付けておけば、結果の振り返りが可能となりますので、より勉強の実が上がると思いますが、ざっとした性格の私にはそのような緻密な作業はできません。
したがって、ほかの人より年数を経ないと、自分にあった投資方法(それなりに利益を得ることができる方法)を見つけることができないのではないかと思っています。
今は、朝からニューヨーク株式市場とドル円レートを確認して、その日の東京株式市場の全体状況を予想し、その中で運用をしているというレベルで、まだ私も初心者のうちです。
結局のところ、日経平均株価が上昇したときは利益が出て、日経平均株価が下落したときは損失が出るというところから脱却できずにいるというのが、私の今の位置だと思います。
なにごとも経験。
暢気者でずぼらな私でも、経験知を積めば自分なりの投資方法を見つけることができるのではないかとひそかに期待しています。
本当は経験だけではダメで、結果の振り返りや自己検証をしないと、同じ失敗を繰り返してしまうと思いますが、これがなかなかできません。
きっと投資で成功している人はここのところをきっちりやっているのではないかと思います。
今回は、「2,000万円問題」に関して、証券投資に関する金融リテラシーをどうして高めることができるのか、私の体験を踏まえてお伝えしました。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.01.16)