【ひとり親家庭】今年の3月分から、障害基礎年金を受給している方も、児童扶養手当を受け取れます。
こんにちは。
昨年の年金制度改革の項目に含まれていた、障害年金と児童扶養手当との調整については、以前のブログでお伝えしました。👇
これまでは、障害基礎年金を受給しているひとり親の場合、児童扶養手当は支給されていませんでしたが、当事者等の要望を受けて、支給されるように改正されるものです。
厚労省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/100526-1.html)に、この制度改正についての案内やQ&Aなどが掲載されています。
少し具体的な内容がわかりましたので、あらためてお伝えしたいと思います。
1.現行の制度内容
児童扶養手当は、ひとり親家庭(母子家庭、父子家庭等)で子を養育する親等に支給されるものですが、父親(母親)が一定程度の障がいの状態にある場合には、母親(父親)に対して支給されることがあります。
また、公的年金を受給している場合には、年金額と児童扶養手当額を比較して、年金額が上回るときには児童扶養手当は支給されず、児童扶養手当額が上回る時にはその差額が児童扶養手当として支給されます。
両親がいる場合と、ひとり親の場合を比較してみますと(所得制限がない場合)、
◆両親がいる場合
父親が障害基礎年金(2級:約65,141円+子1人の加算額18,741円=83,882円)を受けるとしたら、母親は、父親の年金の子の加算額を差し引いた額の児童扶養手当(子1人43,160円-18,741円=24,419円)を受け取ることができます。
その世帯の年金と手当額の合計=83,882円+24,419円=108,301円。
※年金と手当との調整については、支給は年金優先であり、調整は手当の方で行われます。
◆ひとり親の場合
障害基礎年金の額が児童扶養手当の額よりも多いため、障害基礎年金のみを受給し、児童扶養手当は支給されません。
2.改正内容
今回の改正で、ひとり親についても、障害基礎年金の全体の額ではなく、子の加算額(1人の場合18,741円)と児童扶養手当の額との比較となり、その差額が児童扶養手当として支給されるように変更されます。
要するに、ひとり親も両親がいる場合と同じ取り扱いになります。
これまでよりも、毎月24,000円程度収入が増えることになります。
3.各制度の留意点
(1) 児童扶養手当の額
養育する子どもの数、その世帯の前年の所得額(生計が同じなら祖父母の所得も含まれる)によって、手当の額は異なります(以下は月額)。
- 子ども1人目 全部支給:43,160 円、一部支給:43,150 円~10,180 円
- 子ども2人目 全部支給:10,190 円、一部支給:10,180 円~5,100 円
- 3人目以降 1 人つき 全部支給:6,110 円、一部支給:6,100 円~3,060 円
◆参考:所得制限限度額(年間収入ベース)(令和2年 4 月現在)
受給資格者の収入(母と子の 2 人世帯)
- 160 万円未満 :全部支給(月額 43,160 円)
- 160 万円以上 365 万円未満 :一部支給(月額 43,150 円~10,180 円)
- 365 万円以上 :支給なし
(以上、厚労省ホームページの「児童扶養手当法の改正Q&A」から)
(2) 障害基礎年金の額(年額)
障害の程度と加算対象の子の数によって異なります。
- 1級 977,125円+子の加算
- 2級 781,700円+子の加算
- 子の加算額 子1人224,900円、子2人224,900円×2=37,482円、子3人目以降1人につき75,000円
※「子」とは:児童扶養手当、障害基礎年金とも、「子」とは18歳になった後の最初の3月31日までの子、または障がいの状態にある場合は20歳になるまでの子を言います。
4.手続き
この改正については、今年3月1日時点で要件に該当していれば3月分から支給されます。
3月分と4月分は5月に支給されます(2か月分ごとの後払い)。
児童扶養手当の受給資格の認定を受けている方の手続きは不要のようですが、まだ認定を受けていない方は市区町村での認定を受ける必要がありますので、市区町村に認定申請をしてください。
通常は、申請の翌月分から支給されますが、今回は制度改正の経過措置として6月30日までに申請すれば3月分から支給されます。
経過措置はありますが、できるだけ早めの相談、申請をお勧めします(3月1日前でも)。
厚労省のホームページとともに、お住いの市区町村のホームページもご確認ください。
戸籍など、申請に必要な書類等の案内があると思います。
5.改正内容の中に「改悪項目」がある!
今回の改正は、障がいを持ちながら子どもを育てているひとり親にとっては生活の助けになります。
しかし、厚労省のホームページを見ていましたら、改正内容の中に「あれっ!?」と思ってしまう項目が含まれていてびっくりしました。
それは、「所得」のとらえ方についてです。
通常、「所得」は税情報を利用しますので、非課税収入は含まれません。
障害年金や遺族年金は非課税ですから、「所得」には含まれません。
しかし、今回の改正の対象となる人の場合、障害基礎年金はじめ非課税の公的年金も「所得」に含めて、児童扶養手当の所得制限の判断をする取り扱いになっています。
このため、制度改正でもらえると思った児童扶養手当を、結局もらえない人や減額されてしまう人が生じてしまいます。
これまでは全くもらえなかったのだから、少しはその範囲を絞ってもよかろう、ということでしょうか?
せっかくの制度改善なのに、どうしてこういう姑息なことをするのか、私には理解できません。
厚労省にはそれなりに「正当」な理由があるのかもしれませんが、当事者の皆さん方はどうお考えでしょうか?
今回は、障害基礎年金を受給しているひとり親にも児童扶養手当が支給されるにようになることについてお伝えしました。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2021.01.16)