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【コロナウイルス関連】生活に困ったら、遠慮せず生活保護申請を。その時に注意することは?(その2)

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こんにちは。

前回に引き続き、生活保護を申請する際の注意事項についてお伝えしたいと思います。

 

(1) 丸裸になる前に申請すること

      (決定までには日数がかかる)→前回ブログ

(2)資産調査が行われます。

日本の生活保護制度は、資産調査(Means Test)が厳しいことが一つの特徴と言われます。

生活保護は、その世帯の活用できる資産等は、生活を維持するために、すべて活用しなければならないことになっています。

預貯金はもちろん、生命保険も解約して生活費に充当することが原則です。

ただし、生命保険は事情によっては保有が認められる場合があります。

保護申請した場合は、保有する銀行口座等について申告するとともに、それ以外の銀行、生命保険会社等についても資産の有無について文書にて照会されます(本支店一括調査)。

調査対象となる金融機関等の範囲は、福祉事務所ごとに違っていると思いますが、いまは多くのネット専用銀行、ネット証券などもありますので、福祉事務所の調査も難しくなっているのではないかと思います。

文書での照会調査には日数がかかりますので、まず早急に調査できる範囲での事実に基づいて保護の要否について決定することになります。

保護開始後に、申告以外の預貯金等が判明しました場合、その額などに応じて収入認定(保護のお金が減らされる)、保護の廃止、申請時点で資産を有していたとして保護開始の取消し(支給された保護のお金を返す)等の措置がされます。

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 (3) 扶養調査が行われます。

資産調査以上に厄介なのが、この扶養調査です。

なぜなら、生活保護を申請すると、兄弟姉妹のところまで連絡がいくので申請したくない、という人がたいへん多いからです。

この扶養調査があるために、本来、保護を利用できる人が利用しない、当然の権利を行使しないで生活保護基準以下の生活を強いられるということがあり、このことはわが国の生活保護制度におけるもっとも大きな問題であると思います。

現実は、保護申請したら、親子、兄弟姉妹に対して、扶養の照会通知が送付されるのが一般的だと思いますが、成人してからの親子、ましてや兄弟姉妹まで扶養を求める意味がどれだけあるのか、私としては非常に疑問です。

扶養調査をしたとしても「援助します」という返答はほとんどゼロです。

費用対効果が非常に悪い取り組みですが、この扶養調査に力を入れる福祉事務所やケースワーカーもいて、この人たちは何を考えているのかと思ってしまいます。

◆付き合いがなくて、住所を知らなければ調査のしようがない。

申請の際に、親子、兄弟姉妹の氏名、住所を聞かれますが、なかには長年にわたって交流がなく、住所も知らない場合もあると思います。

住所がわからなければ、福祉事務所としても扶養調査書を送付できません。

それでも、福祉事務所の中には、戸籍の附表を調べて、兄弟姉妹の現住所を確認して扶養調査書を送付しようとするところもあるかもしれませんが、そんなことをしていると14日以内に決定をすることはできません。

住所がわかっていても、どうしても保護申請していることを知らせてほしくない場合は、その旨ケースワーカーに申し出てください。

それでも、扶養調査書を送付しようとしたら、下記により、「扶養は保護の要件ではないはず。保護の申請権を侵害するのか」と主張してください。

◆扶養は保護の要件ではない。

扶養義務者からの扶養は、民法上の義務ですが、生活保護を受けるための要件ではありません。

厚労省の課長通知「生活保護法における保護の実施要領の取り扱いについて」には、次のように記載されています。

(第9の2) 相談段階で扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取することは申請権の侵害に当たるか。
  扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取すること自体は申請権の侵害に当たるものではないが、「扶養義務者と相談してからではないと申請を受け付けない」などの対応は申請権の侵害に当たるおそれがある。
また、相談者に対して扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い、その結果、保護の申請を諦めさせるようなことがあれば、これも申請権の侵害にあたるおそれがあるので留意されたい。

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(4)自宅の家・土地、車は保有していてもよいか?

上記(2)の資産と関連しますが、すべての活用できる資産は活用する必要がありますので、固定資産もそれに含まれます。

ただし、現に居住している家屋とその敷地保有が認められます(居住の用に供する程度を大きく超えている場合を除く)。

は、原則、処分、換金して生活費に充てることを求められます。

ただし、公共交通機関での通勤が難しい場合や、障がい者でどうしても車がないと生活を維持することができない場合など、保有を認められる場合があります。

(5)生活の根拠としているところが住所

生活保護は住所を有するところで申請しなければいけません。

この「住所」は、住民登録をしているところが一般的ではありますが、それに限りません。

「住所」は生活の根拠としているところ、普段、居住しているところですので、必ずしも住民票を置いているところとは限りません。

住民票をほかのところに置いている場合でも、現に居住しているところで申請できます。

また、自宅を持たず、友人の家に居候している場合や、入院している病院からでもそこを一時的な住所として申請できます。

また、都市部では、ネットカフェ公園なども住所として申請を受け付けていると思います。


(6)申請相談には一人で行かなくてもよい。

福祉事務所も「役所」ですので、敷居が高かったり敬遠する人もいるかと思います。

相談を受ける福祉事務所の職員も「役人」的な対応をするかもしれません。

そういう心配があるときは一人で行かなくても、だれか信用できる人に同行してもらっても構いません。

友人とか行政手続きや法律に詳しい支援団体の人とかに同席してもらって構いません。

生活保護を申請することは国民の権利です。

上記(3)の国の通知にありますように、福祉事務所は国民が生活保護申請する権利を侵害することは許されません

以前は、申請書を渡そうとしないところもありましたが、最近はそんなひどいところはないと思います。
 
ネット上には、支援団体の情報もありますので、困ったときはそこに相談しましょう。

ただし、生活に困った人たちを食い物にする貧困ビジネスもありますので注意が必要です。

また、生活保護に至る前のセーフティネットとして、2015年から生活困窮者支援法が施行され、全国でいろいろな支援の取り組みが行われています。

行政自ら、あるいは社会福祉協議会や民間に委託して、相談窓口👇を開設していますので、そこに相談する方法もあります。

全国の自立相談支援機関 https://www.mhlw.go.jp/content/000614516.pdf

 

今回は、生活保護の申請に当たっての注意事項についてお伝えしました。

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 今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

 (2020.05.27)(一部修正 2020.06.29最終)