【国民年金】保険料の納付猶予とは、何⁉
こんにちは。
前回から、国民年金保険料の免除・納付猶予制度についてお伝えしています。
◆保険料の免除・納付猶予の種類
①産前産後期間の免除
②法定免除
③申請免除(全額、一部)
④学生等の納付特例
⑤納付猶予
前回は、上記①産前産後期間の免除、②法定免除についてお伝えしました。
上記③申請免除については、以前のブログ👇で、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、収入が減少した場合の年金保険料免除が導入されたときに、お伝えしましたので、ここでは省略させていただきます。
今回は、④学生等の納付特例と、⑤納付猶予についてお伝えします。
1.学生の納付特例
(1) 学生の納付特例とは?
20歳以上60歳未満の人は、厚生年金加入者(国民年金の第2号被保険者)、またはその被扶養配偶者(同第3号被保険者)でない限り、第1号被保険者として、国民年金に加入し、保険料を納付する義務があります。
しかし、学生等の場合は、勉学が生活の中心であって、月額16,540円(今年度)の保険料を支払うだけの収入がない場合が多いことから、保険料の支払いを猶予する特例が設けられています。
(2) 学生とは?
では、「学生」とはどういう人のことでしょうか。
日本年金機構のホームページ(HP)には、
学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方で夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、ほとんどの学生の方が対象となります。
と記載されています。
そして、都道府県ごとに対象となる学校等の一覧表が掲載されています。
定時制、通信制も含まれていますし、受験予備校や自動車学校があったりしますので、該当しそうな場合は、年金機構のHPで確認してください。
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150514.html
(3) 所得要件
学生は勉学が生活の中心だから、保険料を支払うだけの収入はないと書きましたが、ごくごく一部には、十分な収入を得ている人もいますので、一応、所得要件が設けられています。
前年(または前々年)の所得≦118万円+(扶養親族の数×38万円)
これは、申請免除の半額免除の所得基準と同じになっています。
扶養親族はいない場合が多いですから、年間所得額118万円が基準になります。
ただし、申請免除の場合は、本人のほか配偶者と世帯主を含めた所得になりますが、学生の納付特例においては本人だけの所得で判断されます。
(4) 申請手続き
学生の納付特例を受けるためには、年金事務所、市区町村役場に、在学証明書(または学生証の写し)を持って申請する必要があります。
在学している学校でも手続きをすることができる場合もあります。
納付特例の対象期間は、学生である期間ですから、途中で退学等をした時にはその届が必要になります。
しかし、「卒業」の場合の届けは不要とされています。
(5) 効果
学生の納付特例を受けたらどうなるか、ここが肝心なところです。
結論としては、年金の受給資格期間には算入されますが、この期間に係る年金額の計算においては算入されない、算定基礎にならない取扱いとなります。
資格はOK、額はNO!
ここが免除と違うところです。
(6) 追納
学生の間は、保険料は特例適用で納付しなくてもいいけど、卒業して就職したら学生の間の分の保険料も払ってくださいね、ということで「追納」の制度が設けられています。
10年間はさかのぼって保険料を納付することができます。
卒業してから払えるかどうかわからないので、学生の特例ではなく、一般の申請免除を利用したいという場合は、それも可能です。
しかし、所得要件が、学生の特例は本人だけの所得であるのに対し、申請免除の場合は、本人、配偶者、及び世帯主の所得の合計になります。
2.納付猶予
(1) 納付猶予とは?
学生の納付特例と似たような制度として、納付猶予があります。
以前は、若年者の納付猶予制度として30歳未満が対象でしたが、2016年からは50歳未満まで対象が拡大されました。
そして、学生の納付特例が法本則による規定であるのに対し、納付猶予は、法附則の規定で、2025年6月までの経過措置になっています(延長されることもあります)。
(2) 所得要件
申請免除の全額免除の基準と同じです。
前年(または前々年)の所得≦(扶養親族の数+1)×35万円+22万円
扶養家族がいなければ、57万円が基準になります。
そして、この所得は、本人及び配偶者の所得になります。
(3) 申請手続き等
この納付猶予の適用を受けるためには、市区町村役場に申請する必要があります。
効果(期間はOK、額はNO)及び追納については、学生の納付特例と同じです。
額には反映しないとしても、障害年金、遺族年金の納付要件をクリアするためにも、保険料納付が難しい場合は、この制度の利用を検討する必要があります。
3.さいごに
前回から2回にわたり、国民年金保険料の免除・納付猶予の制度についてお伝えしました。
このほかにも、「天災その他省令で定める事由」として、震災、風水害、火災等の災害、失業、DV被害等についても、免除、納付猶予の対象となる場合があります。
厚生年金加入者、及びその被扶養配偶者に該当しない場合は、必ず国民年金に加入したうえで、保険料の支払いが難しい時には、市区町村の年金担当課、年金事務所、街角の年金相談センター、あるいは社会保険労務士等にぜひ相談するようにしてください。
保険料を未納にしたまま、というのが一番いけません。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.09.18)