【国民年金】保険料の免除制度 ①産前産後、②障害年金受給者等
こんにちは。
前回のブログで、「国民年金はぜったいお得だ!」ということをお伝えしました。
年金給付の半分は公費(税金)で賄われていて、終身にわたって支払われること、保険料(掛金)の全額が社会保険料控除対象であること、保険料の納付が難しい場合には免除や納付猶予の制度があること、以上3点がその理由です。
今回から、保険料の免除・納付猶予についてお伝えしようと思います。
1.保険料の免除・納付猶予の種類
①産前産後期間の免除
②法定免除
③申請免除(全額、一部)
④学生等の納付特例
⑤納付猶予
2.産前産後期間の免除
これは、2019年4月から施行された新しい制度です。
(1) 免除の期間
出産予定月*1の前月(多胎妊娠の場合は3月前)から出産予定月の翌々月まで。
つまり、4か月間(多胎妊娠の場合は6か月間)の保険料が免除されます。
(2) 届出が必要
この免除を受ける場合は、出産予定日を確認できる書類(母子手帳等)を持って、市区町村の年金担当課に届け出る必要があります(年金事務所ではありません)。
また、この届出は、出産予定日の6か月前から行うことができます。
出産後でも届け出ができます。
(3) 効果:絶対的免除
この保険料の納付を免除された期間は、免除期間ではなく、保険料納付済期間とされます。
したがって、この期間に係る年金額は、保険料を払ったものとして算定されます。
国民年金法第88条の2には、「(省略)期間に係る保険料は、納付することを要しない。」と規定されていますので、申請を必要とせず、かつ、所得の多寡にも関係のない、いわば絶対的免除のようなものです。
そのため、法定免除や申請免除よりも、この産前産後期間の免除が優先します。
届出の前に支払っていたこの期間の保険料は、届出によって還付されます。
◆保険料との関係
2004年(平成16年)の年金制度改革で、保険料の上限を決めて、その範囲内で給付をするということになりました。
国民年金保険料の上限額は、「16,900円×保険料改定率*2」とされましたが、この産前産後期間の免除制度が導入されたことから、100円増額され、「17,000円×保険料改定率」となっています(令和2年度保険料は16,540円)。
◆(参考)厚生年金の場合
会社等に勤めていて、厚生年金に加入している場合も、産前産後休業期間中(産前6週間、産後8週間)は、保険料は徴収されません。
徴収されない期間は、「産前産後休業を開始した日の属する月から、それを終了する日の翌日が属する月の前月まで」とされています。
また、産後休業に続いて育児休業する場合も、保険料は徴収されません。
3.法定免除
(1) 法定免除の種類(対象者)
①障害基礎年金、障害厚生年金(1、2級)受給権者
※3級は、法定免除の対象外です。
②生活保護法による生活扶助、ハンセン病問題解決促進法による援護を受ける者
※生活保護の生活扶助以外の扶助(医療扶助、住宅扶助など)のみを受ける場合は法定免除の対象外で、申請免除になります。
③国立ハンセン病療養所等、国立保養所入所者
(2) 免除の期間
「該当するに至った日の属する月の前月から、該当しなくなる日の属する月まで」とされています。
上記の障害年金における「該当しなくなる日」の取り扱いが少し複雑ですが、障害の程度が軽くなって、1、2級から3級になり、その3級にも該当しなくなってから3年を経過した日になります。
障害年金も受給していても、障害の程度が軽くなることもあり、また、老齢年金の算定基礎に算入されるべき期間、遺族年金の保険料納付要件とも関連しますので、法定免除の手続きをしておく必要があります。
(3) 届出が必要
法定免除に該当するに至ったとき、また、免除を受けていた人が法定免除に該当しなくなったときは、所定の届書を14日以内に市区町村役場に提出する必要があります。
「14日以内」となっていますが、「法定免除」ですから、その期日から遅れて届け出ても、さかのぼって免除が適用されます。
(4) 効果
この期間は、保険料免除期間として、この期間に係る年金額は2分の1になります(申請免除の全額免除と同じ)。
(5) 保険料納付
法定免除該当者は、免除の適用を受けながら、自分の意思によって保険料を納付することもできます。
また、届出前にすでに納付していた保険料についても、希望に応じ、還付を受けることもできます。
免除を受けたままだと、年金額が2分の1になりますので、生活に余裕がある場合には納付することで年金の増額ができます。
今回は、国民年金保険料の免除のうち、産前産後期間に係る免除及び法定免除についてお伝えしました。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.09.12)