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【年金制度】若い世代ほど、年金の未加入、保険料の未納が多い

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こんにちは。

 1.はじめに

 (1) 年金制度に対する国民の信頼感が低い

わが国の年金制度に関しては、若者は「あてにできない」と感じていたり、あるいは「すでに財政的に破綻している」と極論を主張する人もいるなど、悲観的な意見の人が多いように感じます。

 

8月20日日経新聞は、わが国の社会保障制度に関する民間調査*1を紹介しています。

それによりますと、現行の社会保障制度が30年以上持続可能と考える人は、わずか4%に過ぎなかったということです。

その中でも、今後改革を進めるべき分野として「年金」と答えた人が46%と、ほかの「医療保険29%、「子育て、教育支援の充実29%などよりも圧倒的に多くなっています。

 

それほど、国民の年金制度に関する信頼が低いようで、今後、社労士として、この分野にかかわっていこうとしている私としては、たいへん残念に思います。

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(2) 制度内容の周知不足

わが国の年金制度には、いろいろ問題はあるかもしれませんが、私としては、まだまだ制度内容が国民に知られていないことが、年金に対する信頼が低い最大の理由だと感じています。

そのため、制度内容を一人でも多くの人に、知ってもらうことも、これからの私の重要な役割だと考えています。

 

特に、若い人たちのなかに、「年金なんてあてにできない」と思って、国民年金への加入手続きをしなかったり、加入していても保険料(年金掛金)を支払わなかったりしている人が多いのではないかと心配しています。

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◆年金は老齢だけではない!

年金は、高齢者になったときの生活を支える老齢年金だけと思っている人も多いのではないでしょうか。

年金には、老齢年金ばかりではなく、障害年金遺族年金もあるということ、そして、障害年金、遺族年金を受給するためには、保険料の納付要件というものがあることを知ってほしいと思います。

そして、このことは、何度も何度も伝えていく必要があると感じています。

 

2.若い人たちの年金加入状況

厚労省が3年おきに実施している「公的年金加入状況等調査」の平成28年の「結果概要」を見てみます。

 

まず、「図1 第1号未加入者数の推移」からは、幸いなことに、全体(20歳-59歳)の未加入者数は目立って減少してきていることを確認できます。

平成4年調査の未加入者数1,928千人に対して、平成28年は89千人と、95%の減少です。

 

次に、「表2 年齢階級別 公的年金加入状況(20~59歳)」を見ますと、未加入率は、次のようになっています。

20-24歳 1.4
25-29歳 0.7  
30-34歳 0.2  
35-39歳 0.1  
40-44歳 0.4  
45-49歳 0.2  
50-54歳 0.4  
55-59歳 0.6  

私にはやや意外でしたが、未加入率はそんなには高くありません。

その中で、20代の未加入率が相対的に高くなっています。

50代も高いですが、これは厚生年金のある会社等を退職した後、国民年金の手続きをしていないためではないかと推測します。

 

「表14 学校の種類別 公的年金加入状況(20~59歳)」を見ますと、「大学」の未加入率が4.3%、「大学院」が2.3%と高くなっています。

20代、特に大学生の未加入率が高いことを確認できました。

全体的な未加入率は、心配するような状況ではありませんが、一人ひとりにとっては重要な問題であることに変わりはありません。

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3.年金保険料の納付率

それでは、加入した後の保険料の納付状況を確認したいと思います。

 (1) 最終納付率

 国民年金保険料は、翌月末日が納付期限です。

そして、納付期限から2年を経過しますと、原則として、時効により納付することができなくなります。

したがって、ここでは、厚労省の「令和元年度の国民年金の加入・保険料納付状況」により、未納分を遡って納付できる過去2年分を集計した「最終納付率」を見たいと思います。

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(2) 全体の納付状況

令和元年度(平成29年度分保険料) の最終納付率は、76.3%と、前年度から1.7ポイント上昇しました。

また、10年前の平成21年度(平成19年度分保険料)の最終納付率は、68.6%でしたから、7.7ポイント上昇しています。

加入状況とともに、納付状況も上昇傾向にあることはたいへん心強い気がします。

ただ、未納率がまだ23.7%もあることは決して楽観してよい状況とは言えません。

障害年金遺族年金の納付要件は、1か月分でも満たないと受給できませんので。

 (3) 年齢別納付状況

「図4 年齢階級別最終納付率」によりますと、各年齢階層別の最終納付率は、次のようになっています。

20-24歳 77.90
25-29歳 68.16  
30-34歳 70.28  
35-39歳 73.99  
40-44歳 75.16  
45-49歳 75.74  
50-54歳 76.25  
55-59歳 83.48  

やはり、心配したように、若い世代の納付状況がよくありません。

「20-24歳」では、まだ親世代による納付や学生特例の適用によると思われますが、比較的高い納付率になっています。

しかし、その後の年齢層では、途端に納付率が落ちてしまい、「25-29歳」「30-34歳」では7割の納付に終わっています。

就職して、厚生年金に加入した人は心配ありませんが、アルバイトや派遣等の非正規就労、あるいはフリーランス等で、国民年金に加入はしていても、生活費との関係で年金保険料の納付は後回しになっていることも想定されます。

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◆「3分の2」要件

国民年金保険料の納付率は、納付対象月数に対する納付月数の割合として算出されています。

私は、保険料を納付していない人たちの割合(未納者割合)を知りたいと思いますが、厚労省のデータからは、それはわかりません。

「未納」の状態はまちまちですから、そもそも未納者割合は出しようがないのですが…。

 

未納者のうち、本当に心配なのが、障害年金、遺族年金の「保険料納付要件」を満たさない人です。

初診日(死亡日)までの被保険者期間のうち納付期間が3分の2に満たない人たちです。

年齢にもよりますが、数か月の未納(滞納)、3分の2を十分に超えた状況での未納はそう心配する必要はありません。

私としては、とにかく、免除や納付猶予制度を利用してでも、常に最低3分の2はクリアしておいてほしいと強く願っています。

 

今回は、年金制度に対する国民の信頼度が高くないこと、公的年金の加入状況は全体的には心配ないが、相対的に20代に未加入が多いこと、国民年金保険料の納付状況については、やはり若い年齢層での未納が多いことをお伝えしました。

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今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

(2020.09.05)

 

*1:パソナ総合研究所が、今年2月に、インターネットを通じて20代以上の約1300人を対象に実施した調査。同研究所のホームページには、詳しい内容が掲載されています。