【新型コロナウイルス】GoToトラベル、全国一時停止の決定に疑問あり
こんにちは。
12月14日、政府はGoToトラベルにおいて、18日から東京都と名古屋市を目的地とした利用を一時停止の対象とすることに加えて、28日から1月11日まで全国でも一時停止することを発表しました。
感染拡大の状況、世論の大勢、医療関係者の強い意見表明を踏まえた決定と思われますが、私などは「内閣支持率の急落に慌てふためいて、よく考えもせずに決めた」と下衆の勘繰りをしたくなります。
政府の今回の決定にはいくつか疑問を感じます。
1.「年末年始は集中的に対策が講じられる時期」って、本当?
最初の疑問は、菅首相の「年末年始は集中的に対策が講じられる時期だ」という発言です。
「えっ!? どういう意味??」
旅館、ホテルなど、GoToトラベル関係者にとって、年末年始っていちばんのかきいれどきではないですか?
私にはよく理解できません。
もしかしたら、首相は、GoToトラベルとGoToイートを間違えている??
これは間違った理由による間違った判断ではないでしょうか。
2.いきなり、全国停止ですか?
疑問の2つ目は、全国停止の決定は「いきなり」過ぎはしませんか、ということです。
政府の分科会や医師会から、「医療提供体制は危機的状況にあり、いったんGoToを停止して、感染が落ち着いてから再開すればよい」という提言、意見が多く提出されており、また、世論の大勢も停止対象の拡大などの対応強化を求めていました。
しかし、年末年始の全国停止は、私をはじめ多くの国民にとっては予想外の内容でした。
GoToトラベルを担当する国土交通省、観光庁にも発表の直前に伝えられたようです。
どうしてこうした「いきなり」決定をする必要があるのでしょうか。
担当部署との事前調整をしないままの「いきなり」発表は大きな混乱を生んでいます。
この春の安倍前首相による学級閉鎖の決定、発表が、その日まで文部科学大臣にも知らされていなかったことも思い出します。
2人の首相は、「いきなり」決定、発表によって、国民に事態の重大性を認識させようという一種のショック療法を狙ったのか、あるいは自分のリーダーシップぶりを見せたかったのか、私にはよくわかりません。
3.これまでの姿勢と整合性はあるの?
疑問の3つ目は、これまで世論に抗して「経済を止めるわけにはいかない」「GoToが感染拡大の原因というエビデンスはない」と言い続けてきたこととの整合性はどうなっているのか、ということです。
今回の決定は、GoToが感染拡大の原因の一つであることを認めたということでないと、日本語としてつじつまが合いません。
GoToと感染拡大との関連について、きちんとした調査分析がない以上、政府のGoToによって感染した人はわずか2百数十人という説明にもエビデンスがなく、これまでエビデンスのないことを根拠として政策を打ってきたのか、ということにもなります。
4.自家用車利用のトラベルは感染の危険性は大きくないのでは?
疑問の4つ目は、GoToトラベルを一律に扱ってよいのか、ということです。
上記のGoToと感染拡大との関連性分析と関係しますが、危険性をもっと具体的にみていく必要があるのではないかと思います。
旅行は、移動の場面と旅行先での場面とがあります。
移動に関しては、電車、新幹線、飛行機など限られた空間で、多くの人が長時間過ごすというのは感染の危険性が大きいでしょう。
それでは、家族だけ自家用車で移動する場合はどうでしょうか。
この場合の危険性は自宅で過ごす場合と変わりないはずです。
旅館、ホテルでも、個室で食事を提供するなどの対応をとるなら危険性は高くないはずです。
自家用車利用がまったく危険がないとは言いませんが、自宅で過ごす場合とほとんど変わらない程度の危険性におさまると推測できます。
もしそうであるなら、一律に停止するという決定はおかしいことになると思います。
東京の通勤電車、毎朝の駅から出てくる人の波、繁華街の人出の多さと比較して、自家用車利用の旅行の危険性は高いものでしょうか。
菅首相、政府及びマスコミ評論家たちは、感染拡大防止と経済活動継続との両立が現下の課題といつも言っています。
先日、テレビで英国のBBC放送を見ていましたら、同国の政府は、感染拡大防止と国民の自由を制限することとの板挟みでいつも悩んでいるとのことでした。
国が最も尊重すべきものとして、わが国では経済活動、英国では国民の自由。
今回は、12月14日に発表された、GoToトラベルの年末年始の全国一時停止の決定について愚見を述べさせていただきました。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.12.19)