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【公務員制度改革】公務員における同一労働同一賃金、「会計年度任用職員制度」について

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こんにちは。

 公務員における同一労働同一賃金

前回、同一労働同一賃金が、今年4月から適用されるようになったことをお伝えしました。

しかし、これは民間企業の話です。

同一労働同一賃金を規定したパートタイム・有期雇用労働法は、公務員を適用除外としています。

公務現場で働く職員のおよそ3分の1を占めると言われる非正規職員のおかれた厳しい状況については、「官製ワーキングプア」問題として、これまでも指摘されてきたところです。

また、地方自治体によって、通常の事務職員を「特別職」としていたり、長期間、常時任用しているのに「臨時職員」としていたり、採用方法が不明確、不統一の状況がありました。

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そのような状況を踏まえ、総務省は、地方公務員法を改正して、「特別職」を専門知識や経験のある人に限定し、「臨時的任用」を常勤職員に欠員が生じた場合に限定するなど、その取扱いを厳格にするとともに、それ以外の嘱託職員等の非正規職員を一般職の非常勤職員である「会計年度任用職員」と位置付けることにしました。

また、地方自治法を改正して、「会計年度任用職員」に対して期末手当を支給できるようにしました。

いずれも、民間の「同一労働同一賃金」適用と同じく、今年4月から施行されています。

なお、「会計年度任用職員」はフルタイムパートタイムに区分されます。

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「会計年度任用職員」の内容

(以下、総務省の資料による。)

(1) 募集・任用

「会計年度任用職員」であること、及び勤務条件(任用期間、従事すべき業務の内容、給付、始業・終業時刻など)を明示することが必要になります。

(2) 服務・懲戒

「会計年度任用職員」には、地方公務員法服務の規定が適用されます。

  • 職務専念義務 
  • 政治的行為の禁止 
  • 争議行為等の禁止
  • 法令等及び上司の職務命令に従う義務  
  • 信用失墜行為の禁止
  • 守秘義務 
  • 営利企業への従事等の制限(パートタイムは制限なし)
 (3) 再度の任用
  • 1会計年度ごとにその職の必要性が吟味される「新たに設置された職」と位置づけられる。
  • 任期ごとに客観的な能力実証に基づき、十分な能力を持った者を任用することが必要
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(4) 賃金水準
  • 類似の職務に従事する常勤職員に適用される給料表に紐付いた給料水準
(5) 支給可能な主な手当等
  • 通勤手当(パートタイムは、費用弁償)
  • 時間外勤務手当(パートタイムは、報酬)
  • 期末手当 
  • 退職手当(常勤職員の勤務時間以上勤務した日が18日以上ある月が、引き続いて6月を超えるに至った者。パートタイムは、支給対象外)

なお、勤勉手当については、「期末手当」の定着状況等を踏まえた上での検討課題とすべきものとされています。

(6) 勤務時間・休暇等
  • 職務の内容や標準的な職務の量に応じた適切な勤務時間を設定すること
  • 国の非常勤職員との権衡の観点等を踏まえ、必要な休暇等の制度を整備すること

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実際の運用が課題

「会計年度任用職員」について、マスコミでは、期末手当が支給できるようになったことばかりが強調されていますが、身分や採用の形、勤務条件が、法によって、明確化かつ統一化されたことが大きいのではないかと思います。

賃金、手当等も、民間における「同一労働同一賃金」の趣旨である正規職員との「均衡待遇」「均等待遇」を踏まえた考え方に則っているように思います。

ただ、この新たな制度によって、一般の非常勤公務員の待遇が改善されるのかどうか、「官製ワーキングプア」と指摘されてきた状況が是正されるのかどうか、地方自治体における実際の運用が、今後の課題であると思います。

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地方自治体によっては、期末手当を支給する代わりに、毎月の給料の額を引き下げる提案をしたとんでもないところもあるようです。

何のための制度か、と言いたくなります。

自治体にとっては、給料をそのままにして、期末手当を支給することは、人件費の純増になり、財政負担に耐えられないということでしょう。

この問題は、国会でも取り上げられて、高市総務大臣は、給料の引き下げについては「望ましくない」、財政負担については「財源措置をする」と答弁していました。
今後の運用の実態を見ていく必要があると感じます。

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身分の不安定さは変わらず

総務省の資料を見ますと、上記の「会計年度任用職員」の内容の(3)再度の任用について、1年ごとに「新たに設置された職」として、「客観的な能力実証に基づき、十分な能力を持った者を任用する」ということが強調されています。

非常勤職員にとって、来年度、引き続き仕事ができるかどうかわからないという、身分の不安定さはこれまでと変わりません。

毎年、毎年、試験または選考で任用されますので、いつ職を失うかわかりません。

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退職手当と雇用保険

自分としては、次の年度も、引き続き仕事をしたいと思っていたが、不幸にして、任用されなかった場合はどうなるでしょうか。

フルタイムの会計年度任用職員であった場合は、上記の(5)のうち、退職手当の支給要件に該当すれば退職手当を受け取ることができます。

フルタイムの会計年度任用職員でも、この要件に該当しない場合やパートタイムの会計年度任用職員には退職手当が支給されません。

この場合は、雇用保険失業給付(基本手当)を受給できることになります。
要するに、退職手当と雇用保険とは、見合いの関係と言いますか、どちらか片方の制度の適用を受けることができます。

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地方公務員共済組合法・地方公務員災害補償法の適用

常勤の職員の勤務時間以上の勤務をした日が18日以上ある月が、引き続き12月を超えるに至った者で、以後も引き続き同様の勤務をする者は、13月目の初日から、「職員」として地方公務員共済組合法(短期給付=医療保険)及び地方公務員災害補償法が適用されます。

その他の者に対しては、健康保険法、労災法の適用となります。

年金については、いずれも厚生年金法の被保険者となります(いずれも法の定める要件に該当する場合)。

 

しかし、これらの規定は、あくまでも制度上のことですので、市町村ごとで実際の運用は違ってくるかもしれません。

任用時に渡されるはずの「勤務条件通知書」等によって、退職手当、雇用保険はじめ、社会保険関係、手当等、自分に適用される法的関係について、しっかり確認する必要があります。

また、後日のための証拠書類として、給料明細書も保存しておくことが重要です。

 

今回は、今年4月からスタートした地方自治体等における「会計年度任用職員」制度についてお伝えしました。

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今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

 (2020.05.13)(一部修正 2020.06.29最終)