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【働き方改革】コロナ緊急事態の中で、同一労働同一賃金スタート!

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こんにちは。

働き方改革の一環として、今年4月から、正社員と非正規社員との不合理な待遇差を禁じた同一労働同一賃金の適用がスタートしました。

新型コロナウイルス感染拡大によって、雇用危機、生活危機が真っ先に非正規労働者に波及するときのスタートとなってしまいました。

雇用そのものが危ぶまれる大変厳しい状況下で、同一労働同一賃金がかすんでしまいそうですが、特に、非正規労働者及び派遣労働者にとって重要な制度ですので、内容を確認しておきたいと思います。

 働き方改革同一労働同一賃金

まず、働き方改革は、「労働時間法制の見直し」と「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」の2本柱でそれを推進するという形になっています。

同一労働同一賃金」は後者に係るものですが、これは、「同一企業内における正規と非正規との間の不合理な待遇の差をなくす」ことを目的として、

  • ①不合理な待遇差をなくすための規定の整備
  • ②労働者に対する、待遇に関する説明義務の強化
  • ③苦情や紛争解決手続きについて規定の整備

の3項目がその内容とされています。

 

このため、有期雇用労働者の待遇に関する規定が、労働契約法からパートタイム労働法に移る形になって、パートタイム・有期雇用労働法(正式名称は、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)として改正され、また、派遣労働者に関しては労働者派遣法が改正されました。

ただし、中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用は、1年遅れの2021年4月1日からになります。

以下、上記3項目について見ていきます。

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 不合理な待遇差をなくすための規定の整備

(1) 均衡待遇規定(不合理な待遇差の禁止)

3つの事項(①職務内容(業務の内容+責任の程度)、②職務内容・配置の変更の範囲、③その他の事情)の内容を考慮して不合理な待遇差を禁止するものです。

3つの事項が同じならば同じ待遇に、違うならば違いに応じた待遇にする必要があります(その内容を説明できなければいけません)。

(2) 均等待遇規定(差別的取扱の禁止)

上記3つの事項のうちの2つ(①職務内容(業務の内容+責任の程度)、②職務内容・配置の変更の範囲)が同じ場合は同じ取り扱いをしなければなりません。差別的な取り扱いが禁止されます。

(3) 対象範囲

上記(1)(2)は、正社員と非正規社員との間、また派遣先社員と派遣社員の間における不合理な待遇を禁止するもので、その対象範囲は、基本給、昇給、ボーナス、各種手当といった賃金にとどまらず、教育訓練や福利厚生等も含むこととされています。

仕事, 工場

同一労働同一賃金ガイドライン

「均衡待遇」「均等待遇」とか言われても、言葉が紛らわしいこともあって、どういうことが「不合理」な待遇になるのか、もうひとつてわかりにくいところがあります。

厚労省の「同一労働同一賃金ガイドライン(※)」、「同ガイドラインの概要」によってもう少し具体的に見てみます。

ガイドラインはそれを作成することが法律で規定されています。正式名称は「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」。ガイドラインには、具体的に「問題となる例」「問題とならない例」が記載されている項目もあります。

ガイドライン 👇

https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000469932.pdf

ガイドラインの概要 👇

https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000470304.pdf

 

(1) 基本給、ボーナス

基本給は、労働者の能力又は経験、業績又は成果、勤続年数など、趣旨・性格に照らして実態が同じであれば同一の、違いがあれば違いに応じた支給が必要です。

ガイドラインから
(問題となる例) 基本給について、労働者の能力又は経験に応じて支給しているA社に おいて、通常の労働者であるXが有期雇用労働者であるYに比べて多く の経験を有することを理由として、Xに対し、Yよりも基本給を高く支 給しているが、Xのこれまでの経験はXの現在の業務に関連性を持たな い。


 ボーナスは、会社の業績への労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給が必要です。

ガイドラインから
(問題となる例) 賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給している A社において、通常の労働者であるXと同一の会社の業績等への貢献が ある有期雇用労働者であるYに対し、Xと同一の賞与を支給していない。

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(2) 各種手当

 通勤手当、時間外手当、休日手当、特殊勤務手当、精皆勤手当等については、同一の支給が必要です。

(3) 賃金の決定基準・ルールに相違がある場合

 職務内容(業務の内容+責任の程度)、職務内容・配置の変更の範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであってはなりません。その実態と基準との関連を説明できなければいけません。

(4) 定年後に継続雇用された有期雇用労働者の取り扱い

 パートタイム・有期雇用労働法が適用されます。定年後の継続雇用は「その他の事情」として考慮されますが、そのことのみをもって、待遇差が不合理ではないとは言えません。

派遣労働者

派遣労働者の場合は、派遣会社は、①派遣先会社の待遇に合わせるか、②派遣会社の労使協定で、同業種・同地域の一般労働者の平均賃金に合わせるかのいずれかを選ぶことになります。

 

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労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

  ※パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者すべてが対象

  •  事業主は、本人の待遇内容、待遇決定に際しての考慮事項に関して説明する義務があります。
  •  事業主は、求められたときは、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等説明する義務があります。
  •  事業主は、説明を求めたことを理由として差別的な取り扱いをしてはいけません。

苦情や紛争解決手続きについて規定の整備

  ※パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者すべてが対象

事業主の苦情の自主的解決の努力義務、都道府県労働局長の助言・指導・勧告、調停に関する規定が整備されました。

まとめ 

以上、「同一労働同一賃金」の内容について確認しましたが、特に「均衡待遇」については判断に迷う場合が多いのではないかと思います。

31ページもある「同一労働同一賃金ガイドライン」を読み込むのも大変です。

この同一労働同一賃金規定に違反しても罰則はありません。

労使でよく協議することが、まず、最初に行うべきことかと思います。

苦情処理、紛争解決の手続きも整備されましたので、これらの制度を活用することも重要です。

それでも解決しない時は、裁判ということになります。

 

労使の協議、苦情処理、紛争解決手続き(行政ADR)、裁判等を通じて、「同一労働同一賃金」に関する事例が、経験と工夫とともに積み上げられていくなかで、労働者の権利が守られて、本当の意味での多様な働き方が実現することを期待したいと思います。

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今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

  (2020.05.11)(一部修正 2020.06.29最終)