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【定年後】フランス人は、定年退職後には働かない!

 

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こんにちは。

全世代型社会保障検討会議👇のことをネットで確認していた際に、同検討会議の第1回会議資料3「基礎資料」を覗いていて、「えっ、これほどまでに!?」とちょっとビックリしたデータがありました。

 

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 高齢者(男性)就業率の国際比較

日本とフランスとの差が大きい

それは、資料の最初の方にあります「男性就業率の国際比較(同資料P.3)の「60歳以降」のデータです。

日本米国英国ドイツフランス5か国の、2005年から2018年までの就業率をグラフ化したものです。

各国とも、就業率は年々増加してきており、当該期間中の増加割合は、日本3.6ポイント(P)、米国4.5P、英国4.1P、ドイツ10.9P、フランス5.8Pと、ドイツを先頭にいずれの国も日本以上に高年齢男性の就業率は上昇しています。

しかし、それでも2018年における就業率は、日本42.6%に対して、米国34.5%、英国25.2%、ドイツ24.3%、そして、一番低いフランスは、わずか10.7%でしかありません。

フランスの高齢者の働く割合は、日本の4分の1程度しかありません。

日本は、いずれの国に比べても、ダントツに高いですが、フランスとの違いの大きさにはちょっとビックリしました。
 
わが国では、上記の全世代型社会保障検討会議もそうですが、最近の年金、労働を含む社会保障制度に関する政策は、いかに高年齢者に働いてもらうかということが最大のターゲットになっています。

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働かなくてもいいのかも…

高年齢者に働いてもらって、年金の給付の対象であるばかりではなく、年金保険料の負担者にもなってもらって、年金財政の負担を少しでも軽くしたい、あるいは所得税も支払ってもらえればなおありがたいということだと思います。

これは国の政策としてはよく理解できることです。

フランスでも、年金支給年齢の引き上げの方向にあるようで、この辺りは各国共通だと思います。

私も、このブログで、老後のお金のことに関して「1に節約、2に就労、3、4がなくて5に運用」👇と書きましたように、「元気なうちは仕事をしていた方が良い」という考えです。

その方が心身の健康にも良いと感じています。

 

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しかし、上記のフランスとの就業率の差の大きさに、ちょっとビックリして、果たして、働くことはそんなに良いことかな、もうこれまで十分働いてきたのだし、これからはもう働かなくてもいいのかもしれない…、と思ってしまいました。
※なお、上記の数値は男性の就業率ですが、2018年時点での60歳以降の女性の就業率は、米国25.0%、日本23.8%、英国17.0%、ドイツ16.5%、フランス8.9%になっています。男性ほどの差は開いていません。

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「失業しても幸せでいられる国」

フランスの労働事情

「フランスか…、フランスの高齢者は働かないなあ…」とブツブツ言っているときに、ふと思いついて、本棚から1冊の本を引き出してみました。

それは、都留民子著「失業しても幸せでいられる国-フランスが教えてくれること」(日本機関誌出版センター)という本です。

2010年初版ですから、10年前に出た、もう少し古くなった本です。

※著者は、当時、広島県立大学保健福祉学部教授。「毎年フランスに滞在し、普段着のフランスの人々と暮らしながらフランスの社会保障制度を研究している」と紹介してあります。

再び目を通してみますと、あらためてフランスの労働事情について再認識させられることが多くありました。

たとえば、フランスでは、残業を含めても週39時間以上働いてはいけないとか、もともと日曜日にお店を開くことは禁止されていたのを、その当時、サルコジ大統領が日曜日営業を解禁しましたが、日曜に使用人を働かせると給料2倍プラス代休付与が義務とか、ほんとに7月、8月、9月はバカンスで仕事にならない、など。

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高齢者で働いているのは、社長か政治家くらい

高齢者に関しては、「フランスでは定年退職が非常な喜びなんです。定年後再就職など聞いたことがありません。(同上書P.83)と書かれています。

そして、「高齢者労働力率 OECD」と題して下の表が添えてあります。

    60~64歳 65歳以上
フランス 男女 14.50% 1.30%
2000年 男子 19.00% 1.80%
日本 男女 54.80% 20.70%
2002年 男子 72.60% 34.10%


フランスの「60歳以降」の男性就業率は、日本の約4分の1でしたが、「65歳以上」では、なんと20分の1になってしまいます。

データが少し古いものですので、いま、ネットでOECDのデータを見ますと、65歳以上の「労働参加人口率(labour force participation rate)」は、フランス3.1%、日本24.7%になっています(2018年時点、男女計)ので、それでもわずか8分の1です。

本当に、フランスの高齢者(特に65歳以上)は仕事をしている人がほとんどいません。

働いている少数の人は、著者によると、社長、副社長等の管理職と政治家くらいのものということです。

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仕事することと、人生を楽しむこと

フランス人は、定年退職したら再就職などせずに悠々自適の生活。そんなイメージが湧いてきます。

フランスの幸福感調査によりますと、「一貫して幸福感は50歳から上向き、60代後半から70歳でピークだそうです」(同書P.83)

日本人は、いくつになっても健康なうちは仕事をしたいと考える人が多いことと対照的です。

「労働」に対する意識の違いがあるのかもしれませんし、日本人の場合は、老後の生活費の不安から働くことを選ばざるを得ないのかもしれません。

フランス人は、古いものを大事に使って、あまり物を買わないようですから、きっとお金がないならないなりの生活を楽しんでいるのだと思います。

日本人である私は、すぐに頭を切り替えるということはできませんが、「働かない」ことも頭の隅には置いておきたいと思ったところです。

 

今回は、都留民子著「失業しても幸せでいられる国」を紹介しながら、定年後の「働く」ことと「働かない」ことについて思いを巡らしてみました。

この本には、フランスの社会保障の事情に関して、興味深い内容の記載がありますので、次回もその中から少しだけ紹介したいと思います。

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今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。

 (2020.05.21)(一部修正 2020.06.29最終)