【高齢者の働き方】増え続ける高齢労働者、77%は非正規。(労働力調査から)
こんにちは。
前回は、厚労省の「高年齢者の雇用状況」等についてお伝えしました。
今回は、総務省統計局の「労働力調査」結果☟から、65歳以上の高齢者に関するところを確認していきたいと思います。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index.pdf
- (1) 労働力人口(就業者と完全失業者を合計した人口)
- (2) 労働力人口比率(人口に占める労働力人口の割合)
- (3) 就業者数(「従業者※」と「休業者」を合わせたもの)
- (4) 就業率(15 歳以上人口に占める就業者の割合)
- (5) 正規・非正規別の職員・従業員数(役員を除く)
- (6) まとめ
(1) 労働力人口(就業者と完全失業者を合計した人口)
増え続ける、高齢者の労働力人口
65歳以上の労働力人口は、2019年平均で907万人と、前年に比べ32万人増えました。
男女別では、男性が542万人(前年比19万人増)、女性が365万人(前年比11万人増)でした。
65歳以上の労働力人口は、ずっと増加を続けています。
2009年平均では579万人でしたので、10年間で1.5倍以上になっています。
(2) 労働力人口比率(人口に占める労働力人口の割合)
65歳以上の2019年平均の労働力人口比率は、男性34.8%、女性18.0%で、それぞれ前年に比べて0.9ポイント、0.4ポイント上昇しています。
2009年平均に比べますと、男性で5.4ポイント、女性で4.9ポイントの上昇となっています。
(3) 就業者数(「従業者※」と「休業者」を合わせたもの)
※従業者:調査週間中に賃金,給料,諸手当,内職収入などの収入を伴う仕事を1時間以上した者。
65歳以上の就業者数は、2019年平均で892万人と、前年に比べ30万人増えました。
男女別では、男性が531万人(前年比19万人増)、女性が361万人(前年比11万人増)でした。
2009年平均の就業者数は565万人でしたので、やはり10年間で1.5倍以上になっています。
(4) 就業率(15 歳以上人口に占める就業者の割合)
65歳以上の2019年平均の就業率は、男性34.8%、女性18.0%、男女計24.9%で、それぞれ前年に比べて0.9ポイント、0.4ポイント、0.6ポイント上昇しています。
2009年は、男性28.4%、女性13.0%、男女計19.6%でしたので、10年間で5~6ポイント上昇しています。
就業率については、65歳~69歳、70歳~74歳、75歳以上の内訳の数値も公表されています。
その男性の数値は、順に58.9%、41.1%、15.6%。
女性は、順に38.6%、24.2%、6.7%。
男女計では、48.4%、32.2%、10.3%になっています。
65歳~69歳の年齢層では、男性6割弱、女性4割弱が「就業者」になっています。
因みに、60歳~64歳の就業率は、男性82.3%、女性58.6%、男女計70.3%になっています。
(5) 正規・非正規別の職員・従業員数(役員を除く)
※「就業者」は、「自営業主」「家族従業者」「雇用者」に区分されます。「就業者」のうち89.3%が「雇用者」です(2019年全年齢、男女計)。「雇用者」は、「会社,団体,官公庁又は自営業主や個人家庭に雇われて給料・賃金を得ている者及び会社,団体の役員」と定義されています。
65歳以上の正規の職員・従業員数は、2019年平均で114万人(前年比3万人増)、非正規の職員・従業員数は389万人(前年比31万人増)でした。
65歳以上の職員・従業員のうち約77%、4人のうち3人は非正規で働いています。
因みに、15歳~64歳の職員・従業員のうち非正規は34.4%、3人に1人の割合です。
これを男女別で見ますと、男性の場合、正規の職員・従業員が75万人(前年比3万人増)、非正規が206万人(前年比17万人増、非正規の割合73%)、女性の正規が40万人(前年比1万人増)、非正規が182万人(前年比13万人増、非正規の割合82%)でした。
2014年平均の65歳以上の正規の職員・従業員数は86万人、非正規の職員・従業員は235万人でしたので、5年間で正規は約33%、非正規は約66%増加しています。
非正規の割合も、5年間で、男女計4.2ポイント、男性1.9ポイント、女性6.4ポイント上昇しています。
65歳以上の役員を除く雇用者数は大きく増加していますが、非正規の伸びが正規よりも大きく、現在では、男性で7割強、女性で8割強が非正規の職員・従業員になっています。
(6) まとめ
以上から、男女とも、働いている高齢者が増えていることがわかります。内訳としては、特に女性で、非正規での雇用が増えていることが目立ちます。
すべての年齢における非正規の職に就いた理由は、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が30.6%で最も多くなっています。
65歳以上では、それ以上に高齢者自身の自由な選択の結果、非正規が多くなっているのであれば良いのですが、なかには正規の職を望んでも、やむを得ず非正規で働いている高齢者もいることでしょう。
高齢者の自由な選択による「働き方」が広がっていくことを期待したいと思います。
今回は、総務省の労働力調査から、65歳以上の高齢者の状況についてお伝えしました。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.04.27)(一部修正 2020.07.01最終)