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【年金】「日本の年金は、37カ国中31位!」にビックリした!

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あまりの低ランクに驚いた!

こんにちは。

昨年11月4日、日経新聞に「日本の年金は、37カ国中31位」という見出しの記事が掲載されました。

www.nikkei.com

まず、この「37ヵ国中31位」ということに、「えっ!」と驚いてしまいました。

2位との差は年々拡大しつつあるとはいえ、GDP世界3位に位置するわが国の順位が「37ヵ国中31位」とはどういうことかと思います。

 

それも年金

わが国は、「国民皆年金」制度を採用していて、原則として、20歳以上60歳未満の国民は全員、少なくとも国民年金に加入しています(厚生年金加入者は70歳まで)。

65歳からの年金給付額は、国民年金のみの場合は満額で月6万5千円ですが、厚労省の標準世帯(夫:40年厚生年金加入、妻:専業主婦)では月22万円(2人の基礎年金含む)で、生活するには十分とは言えませんが、それでも老後の生活を支える最大の柱となっています。

 

私の感覚では、年金制度は整備され、それなりに役割を果たしていると思っていましたので、この「37ヵ国中31位」に対しては、ちょっとビックリしました。

日経新聞は、「マクロ経済スライドの導入や退職金制度の普及などを評価する仕組みになっていない。」と恨み言を述べて記事を結んでいます。

インターネットにも、このテーマに関する投稿記事がたくさんアップされていて、関心の高さを示しています。

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「37ヵ国中31位」の指標とは?

この日経新聞の記事は、米コンサルティング会社のマーサーが、昨年10月16日に発表した、年金制度に関する指標の国際ランキングに関するものです。

 

指標は、「十分性(Adequacy)」、「持続性(Sustainability)」、および「健全性(Integrity)」の3つに大別される40以上の項目についてスコアリングし、それを加重平均して総合スコアを算出しています。

マーサー「グローバル年金指数ランキング 」によって、少し詳しく見てみたいと思います。(必要に応じて前年度以前の報告書も参照)

www.mercer.co.jp

◆3つの項目の定義

(以下、上記のマーサーの記事から引用

★十分性(Adequacy) の項目において高い評価を得ている国は、平均以上の最低年金額によって貧困の緩和がみられ、中所得者の所得代替率がよく、老後の所得として定期的に給付を受け取れるシステムがあり、その他の制度が制定されている。例えば、公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか、老後のための貯蓄は十分になされているか、等が評価対象になる。


持続性 (Sustainability) の項目において高い評価を得ている国では、年金制度に優良なカバレッジ(通常、年金制度の義務化および自動登録などによる)、対GDP年金基金運営資金高比率が達成され、制度の義務化、政府債務が低いことが挙げられる。

例えば、年金が支払われるのに十分な環境が整っているか、平均寿命と支給開始年齢の関係は良いか、国家の破綻のリスクがなく持続可能なものか等が問われる。


健全性 (Integrity) の項目では、包括的な規制を設け、年金制度のガバナンスおよび政府と国民間のコミュニケーションにおいて数ヵ国が高評価を得ている。
例えば、年金制度をうまく運用するための見直し機能や透明性が担保されているか、また私的年金のスキーム等が評価される。


★各項目の評価指数における構成:十分性 40%、持続性 35%、健全性 25%

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◆総合的な評価

日本は、48.331位

「改革を要する」Dランクです。

Eランクの国はありませんので、最下位のグループになります。

「改善がなされなければ、年金制度の効果と持続性には疑義が生じる」と指摘されています。

 

上位の国は、次のとおりです。

1位  オランダ 81.0

2位  デンマーク 80.3

3位  オーストラリア 75.3 

4位  フィンランド 73.6

5位  スウェーデン 72.3

6位  ノルウェー 71.2

7位  シンガポール 70.8

8位  ニュージーランド 70.1

9位  カナダ 69.2

10位  チリ 68.7

 

アジアで、日本より上位にある国・地域は、シンガポールのほか、17位マレーシア60.6、22位サウジアラビア 57.1、27位インドネシア 52.2、29位韓国 49.8、30位中国 48.7

 

日本の過去のランキングは以下の通りです。

2018年度 34ヵ国中29位 総合48.2(十分性)54.1(持続性)32.4(健全性)60.7

2017年度 30ヵ国中29位 総合43.5(十分性)48.0(持続性)26.0(健全性)60.7

2016年度 27ヵ国中26位 総合43.2(十分性)48.5(持続性)24.4(健全性)60.9

2015年度 25ヵ国中23位 総合44.1(十分性)48.8(持続性)26.5(健全性)61.2

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3つの項目のそれぞれについて見てみたいと思います。

◆「十分性」の指標

日本は54.6で、37ヵ国中26位

上位は、1位アイルランド 81.5、2位フランス 79.1、3位オランダ 78.5、4位ドイツ 78.3、5位デンマーク 77.5

 

アジアで、日本より上位にある国・地域は、6位 シンガポール 73.8、19位 中国 60.5 22位 サウジアラビア 59.6。

 

前年度より指標の数値が大きくアップしていて、日経新聞は、「確定拠出年金などに税制優遇措置を設けていること(中略)などが評価された。」と書いています。

しかし、年金だけで老後の生活に十分かと言われれば十分ではありません。

厚労省のモデル高齢世帯とは違って、国民年金のみの世帯においてはなおさらです。

 

マーサージャパンのプリンシパルである北野信太郎は

いわゆる「老後2,000万円」問題が大きく話題を呼んだように、当指標の十分性が低い、というのも、国民一人一人が実感しているのではないかと思います。

とコメントしています。

 

ここの指標となっている所得代替性については、OECDのデータを使っているようですが、その数値は30%台です。

所得代替率」の算出方法に違いがあるのでしょうが、国が言う「所得代替率は50%以上を堅持する」ということとかなりの違いがあります。

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◆「持続性」の指標

わが国は、32.231位。 

上位は、1位デンマーク 82.0、2位オランダ 78.3、3位オーストラリア 73.5、4位スウェーデン 72.0、5位チリ 71.7

 

アジアで、日本より上位にある国・地域は、11位マレーシア 60.5、12位シンガポール 59.7、17位韓国 52.6、18位香港 52.5、20位サウジアラビア 50.5、26位インド 44.9、29位タイ 38.8、30位中国 36.7。

 

3つの項目の中で、最も低いランクであり、これが全体のランクの低迷の大きな要因になっています。

日経新聞によりますと、「政府債務の多さや私的年金の加入を強制していない点等が評価を押し下げた」ということです。

 

国際的に見て、わが国の問題点は、膨大な政府債務と少子高齢化の進展、及びそれへの対策が目に見えた効果を上げていないことであるのは周知の事実かと思います。

 

新型コロナウィルスや地震などと違って、両方とも、昨日今日降りかかったことではなく、何十年もわが国が抱え続けている課題ですが、政府がその重大な課題に、真剣に取り組んでいるのかどうか疑わしいということでしょう。

 

また、「持続性」の指標のなかの一つである経済成長の見通しも、他国に比べると思わしくありません。

 

政府が何もしていないかと言えばそうではありません。

高齢者・女性等の雇用促進によって、年金の支え手である年金加入者数は増加しつつあります。

特に高齢者については、65歳までの雇用確保措置がほぼ100%達成されていることに続き、70歳までの雇用確保措置を努力義務として導入しようとしています。

 

マクロ経済スライドの導入など、年金制度を維持していくために、年金給付額を調整するような仕組みになっています。

 

ただ、問題に大きさに比べて、抜本的な対策にはなっていないということかもしれません。

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持続性」指標が非常に低位であると言いますと、わが国の年金制度は、「やがて崩壊するに違いない」とか、若い世代からの「自分たちが高齢になったときには年金制度はなくなっている」とか、制度の存続そのものを危ぶむ声をさらに大きくしてしまうかもしれませんが、それは短絡的な見方であり、年金制度が崩壊することなどあり得ないと、私は思っています。

年金制度が崩壊するときは、国そのものが危ないときと考えています。

◆「健全性」指標

わが国は、60.828位。 

上位は、1位フィンランド 92.3、2位ノルウェー 90.6、3位オランダ 88.9、4位香港 86.9、5位オーストラリア 85.7

 

アジアで、日本より上位にある国・地域は、香港のほか、9位シンガポール 81.4、 15位マレーシア 76.9、23位インドネシア 67.5、26位トルコ 62.8、27位サウジアラビア 62.2

 

「十分性」「持続性」で劣っているとしても、「健全性」では上位でありたいと思いますが、残念な結果です。

日経新聞の記事では「健全性」に関するコメントはありませんが、年金記録問題の後も、続発する事務ミスなど、国民の年金制度に対する信用を失うような状況もあり、政府と国民間のコミュニケーションや透明性の指標が低くなっているかもしれません。

 

以上、今回は、日経新聞の記事をきっかけに、マーサーの年金指数ランキングについてお伝えしました。ちょっと記事が長くなってしまいました。

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 今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
 (2020.04.07)(一部修正 2020.06.20最終)

 

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