【2000万円問題】②金融庁の報告書は税制改正に反映され、投資環境の整備に変わりなし!
こんにちは。
前回のブログで👇、国民の中には、2,000万円問題をきっかけに投資行動を起こした人と、何の行動も起こさなかった人の二通りの反応があったのではないか、ということを述べました。
報告書内容は税制改正大綱に反映している!?
政府(金融庁)としては、いちど公表した報告書を正式なものとはしないと、事実上撤回したことで、政治的には失点になったようですが、昨年12月3日にまとめられた与党税制改正大綱には、報告書の意図するような改正項目がちゃんと入っています。
報告書は撤回されましたが、大騒ぎになったことで、国民の資産運用への関心が高まったことも事実で、それを推進するために制度が改正されて、投資環境の整備が進みつつあるという経緯を見れば、「2,000万円問題」は、金融庁にとって失点とばかりとは言えないのではないでしょうか。
当初、騒ぎの前に税制改正大綱に書き込む予定だった内容と、実際の大綱の内容を比較しないとわかりませんが、国民の関心の高いNISAとイデコについて記載されたということは、あの騒ぎによる影響はなかったと言ってもいいかもしれません。
(もし、そうであるならば、「2,000万円問題」の大騒ぎはいったい何だったのか? 要するに選挙前の茶番劇だったということでしょうか。それにしては、政治もマスコミも国民も、随分な時間と資源の無駄遣いをしたものです。)
金融庁にとっては、国民の中に、自助努力としてのより安全な資産運用の機運を高めるということが狙いでしょうから、「災い転じて福となす」、あるいは「名を捨てて実を取る」という結果に落ち着いたというところではないでしょうか。
税制改正大綱の内容
税制改正大綱を簡単におさらいしてみたいと思います。
新NISA
NISAは、低リスクの投資信託などに限定した積み立て枠(1階)と、上場株式などにも投資できる枠(2階)の2階建ての「新NISA」に移行することになりました。
運用益が非課税となる年間限度額は、1階が20万円、2階が102万円で合計122万円になります。
1階に、現行の「つみたてNISA」の制度を組み込むことで、比較的安心して、新規に投資を始める人の数を増やしていこうという狙いだと思います。
イデコ
確定拠出年金については、掛け金を拠出できる年齢を、個人型(イデコ)では65歳未満まで、企業型では70歳未満までと、いずれも現行よりも5歳延長されます。
受給開始年齢についても、イデコ、企業型ともに、公的年金の改正と合わせて、60歳から75歳までの間で選べるようになります。
また、企業型の確定拠出年金を採用している会社に勤務している会社員が、イデコにも加入しやすくなるように改正されます。
すでに、2017年からは、公務員と国民年金第3号被保険者(厚生年金加入者の被扶養配偶者)もイデコに加入できるようになっています。
投資・運用の環境整備は進んでいく。
今回の改正、さらに今後も続くと思われる制度改正によって、投資を始めやすくするよう環境が整備されて、投資、資産運用に踏み出す国民の数は着実に増加していくものと考えられます。
わが国は、他の国にくらべて金融リテラシー(お金に関する知識や判断力のこと)が低いという状況において、投資教育をどうするのかという課題はあるものの、この投資、資産運用の必要性の増大、そのための環境整備ということは、止めることのできない時代の大きな流れと受け止めるべきだと思います。
国の政策は、「公的年金だけで老後の生活を維持していくことはできない。あとは、NISAや確定拠出年金などを活用して「自助」で何とかやってくれ」ということでしょうが、それに対して「けしからん。公的年金を拡充して、公的年金だけで生活できるようにしろ」ということが、果たして現実的かどうか。
庶民なりのしたたかさも必要
自分の意見、主張はどうあれ、今の制度の中で、自分としてできる努力はしなければいけません。
現政権に反対する人でも、今の制度を利用して自分の身を守る算段をすることは必要なことでしょう。
庶民は庶民なりのしたたかさが必要です。
「2,000万円問題」の終息とともに、それを自分自身の老後の問題として考えることをやめてしまった人たち、「投資」や「資産運用」にアレルギーを感じて、一歩を踏み出さない人たちは、時代の流れに取り残されてしまうのではないかと危惧します。
もちろん、生活していくのが精一杯で、「投資に回せるお金なんてない」「運用できるような資産なんてどこの話だ!」という人々が多くある現状を忘れてはいけませんが。
今日は、「2,000万円問題」で大騒ぎになったけれども、税制改正大綱には関連項目がちゃんと書き込まれていて、投資や資産運用に関する環境整備は着々と進んでいるということを述べさせていただきました。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.01.09)