【2000万円問題】③家計の見直し・節約が運用よりも先ということについて
こんにちは。
今回は、「2,000万円問題」の第3弾になります。
ネットで関連の記事を見ていましたら、他とは違った視点で「なるほど、その通り」と思わせられたものがありましたので、今日はそれをご紹介したいと思います。
- 家計コンサルタント八ツ井慶子さんの論及
- 家計の見直しで運用と同程度の効果
- 運用はマイナスの可能性がある
- 確実かつ安全な家計の見直し
- 入るを図りて、出ずるを制す
- 民間保険、通信費等に無駄はないか?
- 節約したお金も運用すれば
家計コンサルタント八ツ井慶子さんの論及
それは、雑誌プレジデント・ウーマン(デジタル版 2019.06.24)に掲載された、家計コンサルタント八ツ井慶子(やつい・けいこ)さんの「"老後2000万問題"の本当の恐ろしさとは」という記事です。👇
八ツ井さんは、
一体、いつから「少額でも、(若いうちから)コツコツ運用しましょう」に変わってしまったのでしょう。積立を用いたからと言って、リスクが減る訳でもありません。
と書いていて、運用にはどちらかと言えば否定的なようです。
家計の見直しで運用と同程度の効果
私が感心したのは、八ツ井さんが、具体的な数字を示して、運用と家計の見直しの比較をしている点です。
[積み立て]
月1万円を積み立て、年利2%で複利運用した場合→30年後:約494万円
[家計の見直し]
月1万円+3,723円を節約→30年間:約494万円
無理して、(必ずプラスになるとは限らず、マイナスになる可能性もある)運用をしなくても、家計を見直して、毎月の出費を節約すれば、運用と同じ効果を上げることができる、ということです。(3%運用と同等となるのは、毎月1万円+6,223年の節約で30年間約584万円)
非常に説得的だと思いました。
こういう見方は、私が覗いてみたいくつかの「2,000万円問題」に関する論及にはなかったので新鮮に感じました。
さすが「家計コンサルタント」のなせる業だと思います。
運用はマイナスの可能性がある
たしかに、投資や資産運用は、プラスが確定しているわけでは全然なくて、当然マイナスになる可能性があります。
過去を見れば、「バブルの崩壊」によって、1989年12月末の日経平均株価終値38,915円が、翌年12月末には終値23,848円におよそ4割ダウンしました。
また、「リーマンショック」のときは、2008年8月末の同終値13,072円がわずか2か月後の10月末には終値8,576円へ約34%下落したことがありました。
そんな昔にさかのぼらなくても、今年の年明けの日経平均株価の動きを見ればそのアップダウンの激しさは一目瞭然です。
[1月6日:1.9%下落、7日:1.6%上昇、8日:1.6%下落、9日:2.3%上昇]
もちろん、これはアメリカとイランが戦争一歩手前という危機的状況に至ったことが要因でしたが、年間利息2%、3%を運用で確保したいという者からすれば、同程度の変動が1日単位であるわけですから、空恐ろしくなるのもよくわかります。
(ここでは代表例として日経平均株価を示しましたが、運用の対象銘柄はこれに限りません。年初の乱高下の間も上昇し続けた銘柄もありました。)
確実かつ安全な家計の見直し
こういう不確実かつ損失の心配のある投資や資産運用よりも、確実かつ安全な家計の見直しによって老後資金を捻出する(貯蓄する)ということは大いに推奨されてよいと、私もまったく同感です。
また、運用を考えるにしても、順番としては、家計の見直しが先ということにも賛同します。
自戒を込めての話になりますが、自分の世帯の月々の収入、支出を数字としてきちんと把握している人はそう多くはないのではないかと思います。
もちろん、大まかにはわかっているでしょうが、大事なことは具体的な数字として掴んでおくことだと思います。
そうでないと、具体的な節約の計画と実践ができません。
支出の中で節約できるものは節約していけば、上記の八ツ井さんの計算例のように20年、30年経てば大きな額になります。
入るを図りて、出ずるを制す
「入るを量りて出ずるを為す」とは、まず収入を正しく計算してから、それに見合った支出の計画を立てるべきである、ということのようです。
しかし、一般的には、「入るを図りて、出ずるを制す」と解釈して、収入を増やすことと支出を抑えることの両方が財政(国家でも会社でも家計でも)にとっては肝要であると受け止められているかと思います。
投資や資産運用は、収入を増やそうとすることで、家計の見直しは、まさしく「出ずるを制する」節約の方法です。
民間保険、通信費等に無駄はないか?
例えば、「民間保険」について無駄な支出はないでしょうか。
「入っていた方が安心かな」と勧められるままに保険に加入して、補償内容が重複しているものがないでしょうか。
年齢が進むとともに家庭状況の変化に応じて、保障内容も見直すべきですが、加入したときのままになっていないでしょうか。
結果として過大な補償、過重な保険料負担になっていないでしょうか。
電話、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの「通信費」はどうでしょう。
私なども、明細書を見ても項目が多く複雑なために、面倒くさくて読む気にもなりません。
しかし、政府の意向もあって、最近、携帯電話の料金体系が見直されたことを契機に、先日、営業所を訪れて、わが家の料金プランの見直しを申し出てみました。
すると、プランの見直しとタブレット契約の解約(Wi-Fi環境のある場所では、契約がなくてもタブレットは使えます。)と合わせて数千円の節約ができました。
また、危ないのは、契約後の期間限定の無料サービスを解約せずそのままにしていて、毎月数百円課金されているものです。
ときどきは料金プランの見直しをした方が良いと思います。
「民間保険」「通信費」のほかにも見直せば節約できるものがあるかもしれません。
例えば、クレジット払いで、毎月引き落とされているが、何の経費かわからない、でも額が大きくないのでまあいいか、とそのままにしているものがないでしょうか。
手続きをするのは、面倒くさくて時間を要するかもしれませんが、無駄な支出を少しでもなくしていくことが「出ずるを制する」ことになります。
それが10年、20年、30年分になると大きな額になってしまいます。
自分ではなかなか家計の見直しの着眼点や方法がわからないという場合は、ファイナンシャル・プランナー(FP)に相談してみることもよい方法だと思います。
節約したお金も運用すれば
今日は、「2,000万円問題」で、改めて家計の見直し、無駄な支出の抑制に気づかせてもらったことについてお伝えしました。
なお、私自身は、「出ずるを制する」ことはもちろんですが、節約して浮いたお金をただそのまま銀行に預けるのではなく、そのお金を(リスクとリターンを考えながら)投資、資産運用に回して「入りを図り」、収支両面のダブル効果を期待したいという立場です。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.01.11)