【老齢厚生年金の額が減少】①驚いた! 老齢厚生年金は、この10年間に10%以上減っている!
こんにちは。
前回まで、厚生年金の適用拡大について考えてきましたが、今回から、年金の現状はどうなっているのか、見ていきたいと思います。
世間では、「年金は年々減っている」と言われていて、私たちも「そういうものか」と漠然とそうだと受け取っているように思います。
実際にはどうなのか。
厚労省年金局「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(平成19年度分までは、社会保険庁「社会保険事業の概況」)で公表されているデータによって確認していきたいと思います。
1.65歳以上(男性)の平均年金月額
「厚生年金保険(第1号※)老齢年金受給権者状況の推移(男子)」のという表(平成30年度では、表12)にある「65歳以上」の「平均年金月額」のデータは、以下の通りになっています。
※第1号厚生年金被保険者:一般の民間企業の厚生年金加入者、第2号:国家公務員、第3号:地方公務員、第4号:私立学校共済加入者
平均年金月額 対前年度増減 指数 指数
H14年度 205,190円 100
H15年度 202,381円 -1.37% 98.63
H16年度 200,580円 -0.89% 97.75
H17年度 199,135円 -0.72% 97.05
H18年度 197,007円 -1.07% 96.01
H19年度 195,817円 -0.60% 95.43
H20年度 194,533円 -0.66% 94.81 100.0
H21年度 193,393円 -0.59% 94.25 99.41
H22年度 192,323円 -0.55% 93.73 98.86
H23年度 189,747円 -1.34% 92.47 97.54
H24年度 187,290円 -1.29% 91.28 96.28
H25年度 183,155円 -2.21% 89.26 94.15
H26年度 179,578円 -1.95% 87.52 92.31
H27年度 178,928円 -0.36% 87.20 91.98
H28年度 176,655円 -1.27% 86.09 90.81
H29年度 174,535円 -1.20% 85.06 89.72
H30年度 172,742円 -1.03% 84.19 88.80
※平均年金月額には基礎年金を含んでいます。対前年度増減、指数は私が加えたもの。(次の女性の表も同じ)
※平成18年度から同じ形式の表になっていて、そこに平成14年度分以降の数値が記載されています。
この数字を見ていただくと、毎年、年金額が減っていることがよくわかります。
平成14年の年金額を100とすると、平成30年度では84.19と約16%の減少、単純計算で毎年1%ずつ減少しています。
最近10年間で見ますと、平成30年度の年金額は平成20年度から11.2%減少していて、年平均減少率が大きくなっています。
この数字には驚きました。年金が減っているという感覚はありましたが、10年で10%以上とは!
2.65歳以上(女性)の平均年金月額
同じように、表「厚生年金保険(第1号)老齢年金受給権者の状況(女子)」(平成30年度では、表13)から、「65歳以上」の「平均年金月額」を見てみます。
平均年金月額 対前年度増減 指数 指数
H14年度 114,945円 100
H15年度 113,665円 -1.11% 98.89
H16年度 113,060円 -0.53% 98.36
H17年度 112,738円 -0.28% 98.08
H18年度 112,033円 -0.63% 97.47
H19年度 111,888円 -0.13% 97.34
H20年度 111,760円 -0.11% 97.23 100
H21年度 111,681円 -0.07% 97.16 99.93
H22年度 111,670円 -0.01% 97.15 99.92
H23年度 110,945円 -0.65% 96.52 99.27
H24年度 110,655円 -0.26% 96.27 99.01
H25年度 109,314円 -1.21% 95.10 97.81
H26年度 108,384円 -0.85% 94.29 96.98
H27年度 109,180円 0.73% 94.98 97.69
H28年度 108,964円 -0.20% 94.80 97.50
H29年度 108,776円 -0.17% 94.63 97.33
H30年度 108,756円 -0.02% 94.62 97.31
女性の場合、減少幅は男性に比べて小さいものの、平成27年度を除いて、毎年、年金額が減っていることに変わりありません。
平成30年度の年金額は、平成14年度に比べて5.4%、平成20年度に比べて2.7%減少しています。
3. 65歳時の年金額
上の表は、65歳以上のすべての年金受給者の平均年金月額のデータですが、今度は、65歳になったときの年金額を、「年齢別老齢年金受給権者数及び平均年金月額」という表で見てみます(平成30年度ではP.28「参考資料2」)。
平均年金月額 対前年度増減 指数 指数
H17年度 167,384円 100
H18年度 166,641円 -0.44% 99.56
H19年度 167,800円 0.70% 100.25
H20年度 166,538円 -0.75% 99.49 100
H21年度 164,487円 -1.23% 98.27 98.77
H22年度 163,636円 -0.52% 97.76 98.26
H23年度 159,835円 -2.32% 95.49 95.98
H24年度 157,723円 -1.32% 94.23 94.71
H25年度 155,420円 -1.46% 92.85 93.32
H26年度 151,881円 -2.28% 90.74 91.20
H27年度 149,918円 -1.29% 89.57 90.02
H28年度 145,557円 -2.91% 86.96 87.40
H29年度 145,508円 -0.03% 86.93 87.37
H30年度 144,765円 -0.51% 86.49 86.93
※第1号厚生年金被保険者のデータです。男女別のデータはありません。
※平均年金月額には基礎年金を含んでいます。対前年度増減、指数は私が加えたもの。
※平成17年度から同じ形式の表になっています。
このデータを見ても、平成19年度を除いて、毎年、年金額が減っています。最近の10年間で約13%減少しており、「65歳以上」の減少幅よりも、新しく65歳になるときの減少幅が大きくなっています。
厚労省の公表データから、老齢厚生年金の額が10年間で10%以上減っていることを確認しました(「65歳以上」の女性を除く)。
これは私にとっても、思ったよりも大きな数字でした。
次回は、別の方向からデータを見てみたいと思います。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.02.01)(一部修正 2020.06.20最終)