【老齢厚生年金の額が減少】②年齢によって違う、10年後の減少幅
こんにちは。
前回は、厚労省年金局「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(以下「概況」。平成19年度分までは、社会保険庁「社会保険事業の概況」)のデータから、「65歳以上」及び「65歳」の平均年金月額が、最近10年間で10%以上減っている(「65歳以上」女性を除く)ことを確認しました。
これは、いわば「平均額」の「年度」と「年度」の比較による厚生年金の全体状況であって、年金財政にとっては、給付額の抑制が順調に進んでいるということになると思います。
しかし、私たち年金受給者にとっては、全体状況として年金の額が減っていることも重要ですが、それに加えて、自分の年金が受給している間にどうなっていくのか、ということの方がより気にかかることではないでしょうか。
そこで、前回と同じ「概況」の「年齢別老齢年金受給権者数及び平均年金月額」のデータを使って、平成20年度の年齢の平均年金月額が、10年後にどうなったか、(例えば、平成20年度の65歳の年金額が、平成30年度75歳になってどうなったか)各年齢について比較をしてみます。
H20年度 H30年度
年齢 平均年金月額 年齢 平均年金月額 減少率
65 166,538 円 75 149,700円 10.1%
66 165,941 76 151,936 8.4%
67 163,840 77 154,092 5.9%
68 162,644 78 156,691 3.7%
69 162,726 79 158,319 2.7%
70 164,711 80 160,124 2.8%
71 164,629 81 160,712 2.4%
72 165,670 82 161,829 2.3%
73 166,848 83 162,958 2.3%
74 167,315 84 163,245 2.4%
75 167,103 85 162,637 2.7%
76 168,840 86 163,477 3.2%
77 170,958 87 164,675 3.7%
78 175,209 88 167,223 4.6%
79 177,772 89 168,293 5.3%
平成20年度に65歳であった人たちの年金額は、10年後には10%減少していて、前回の結果と変わりませんが、そのほかの年齢を見ると、ずいぶん様相が違っています。
10年後に減少していることには違いはありませんが、その減少幅が、年齢によって大きく異なっています。
しかも、年齢が上がるとともに、減少幅は小さくなっていき、71歳→81歳、72歳→82歳で2.3%と最小になった後、また、減少幅は少しずつ大きなって、比較できるデータのある最高年齢の79歳→89歳で5.3%になるという特徴的なパターンを示しています。
なにか規則性のようなものを感じてしまいますが、どうしてこうなるのか、私にはわかりません。
このように、10年後の数字を比較できるデータは、上記の[平成20年度→平成30年度]のほか、[平成17年度→平成27年度] [平成18年度→平成28年度] [平成19年度→平成29年度]の3通りの組み合わせしかありません。
[平成20年度→平成30年度]で見た規則性のようなものは、他の組み合わせでも見られるのでしょうか。
H17年度 H27年度
年齢 平均年金月額 年齢 平均年金月額 減少率
65 167,384円 75 157,186円 6.1%
66 168,280 76 158,817 5.6%
67 169,047 77 160,706 4.9%
68 168,049 78 161,361 4.0%
69 168,631 79 162,612 3.6%
70 169,823 80 163,868 3.5%
71 169,674 81 164,320 3.2%
72 168,679 82 164,013 2.8%
73 170,180 83 165,183 2.9%
74 172,185 84 166,759 3.2%
75 176,577 85 169,716 3.9%
76 179,199 86 171,435 4.3%
77 180,100 87 170,821 5.2%
78 182,012 88 171,792 5.6%
79 183,236 89 171,740 6.3%
H18年度 H28年度
年齢 平均年金月額 年齢 平均年金月額 減少率
65 166,641円 75 154,497円 7.3%
66 165,996 76 157,057 5.4%
67 166,080 77 158,680 4.5%
68 166,631 78 160,577 3.6%
69 165,646 79 161,205 2.7%
70 167,461 80 162,430 3.0%
71 168,162 81 163,651 2.7%
72 168,184 82 164,065 2.4%
73 167,574 83 163,623 2.4%
74 169,253 84 164,713 2.7%
75 171,313 85 166,219 3.0%
76 175,707 86 169,039 3.8%
77 178,282 87 170,517 4.4%
78 179,147 88 169,834 5.2%
79 180,986 89 170,665 5.7%
H19年度 H29年度
年齢 平均年金月額 年齢 平均年金月額 減少率
65 167,800円 75 152,084円 9.4%
66 165,740 76 154,217 7.0%
67 164,478 77 156,812 4.7%
68 164,383 78 158,434 3.6%
69 164,948 79 160,287 2.8%
70 165,391 80 160,902 2.7%
71 166,446 81 162,080 2.6%
72 167,285 82 163,272 2.4%
73 167,557 83 163,617 2.4%
74 167,199 84 163,122 2.4%
75 168,956 85 164,065 2.9%
76 171,048 86 165,450 3.3%
77 175,382 87 168,127 4.1%
78 177,957 88 169,413 4.8%
79 178,701 89 168,616 5.6%
いかがですか? 見事に同じパターンですね。
年齢の両端(65歳→75歳、79歳→89歳)での減少率が最も大きくて、真ん中あたりの年齢(71~74歳→81~84歳)で最も小さくなっています。
きっと何か、こういうパターンになる理由があるのでしょうが、私には不明で、宿題として取っておきたいと思います。
今回は、年金を受給している期間にどうなっているのかを見てみましたが、10年のスパーンでみると、どの年齢においても減少していること、その減少の幅は、2%台から10%の間で、年齢によって大きく異なるという結果でした。
次回は、年金額の減少の要因について考えてみたいと思います。
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.02.03)