【定年後】友人関係が希薄な定年後の男性
こんにちは。
前からずっと気になっていたことがあります。それは、街に出かけたときのその街の中、講演会、美術展などの催し物の会場、昼間のレストラン等々、どこでも多くの女性の姿を見かけますが、それに対して、男性、特に、私と同年配の定年後と思しき男性の姿がほとんど見えないということです。
いつも私は、「定年後の男はどこで何をしているのだ?」と疑問に思っています。私の行動範囲の中で定年後の男性を見かけるのは、図書館と温泉と散歩くらいです。(もしかしたら、パチンコ店や競輪、競馬場には多いのかもしれませんが、私自身がそちらには行きませんので、実際のところはよくわかりません。)
私が3月まで在籍していたNHKカルチャーセンターの「朗読の会」でも20人程の参加者のうち男性は私のほか1名のみでした。(余談。コロナウィルス感染防止のため、4月から「朗読の会」はお休みにしました。)
男性に比べて、女性は活動的です。行事、催し物、習い事、健康づくり、趣味の会、山歩き、友人とのおしゃべり等々。
定年後の男性は、いったいどこで何をしているのでしょうか。まさか一日中、自宅でテレビの番ではないでしょう?
定年退職後の男性と女性の違いはどこにあるのでしょうか。
私たち世代の現役時代は、まだ終身雇用が残っていましたので、多くの男性は定年退職によって、それまで属していた会社等の組織から離れるという大きな変化を経験します。一方、女性の方は、夫の退職によっても、社会との関係において変化が生じることは基本的にはありません。
男性は、家庭のほかに属するところがなくなってしまって、どうしたらよいのか戸惑い、途方に暮れているのかもしれません。もちろん、男性の中には、引き続き仕事をする人もあり、地域活動をする人、仲間と一緒に趣味を楽しむ人も多くいますが、仕事オンリーで生きてきた人の中には、定年後に抜け殻みたいになってしまう可能性もあります。
NHK放送文化研究所の調査結果
NHK放送文化研究所の「放送研究と調査」2018年6月に掲載された「友人関係が希薄な中高年男性-調査から見える日本人の人間関係」で紹介されている調査結果をいくつか見てみたいと思います。
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20180601_7.pdf
① 「レジャーやスポーツ、文化的なグループ活動への参加」では、「週に1回以上」と「月に数回」を合計した割合では、60代男性17%、60代女性28%
② 「親しい友人との接触頻度」では、「週1回以上」ある割合は、60代男性22%、60代女性31%、70歳以上男性24%、70歳以上女性32%
③ 「メールやSNSでやり取りする友人の数」で「いない」と回答した割合は、60代男性40%、60代女性31%、70歳以上男性67%、70歳以上女性57%
④ 「悩み事を相談できるような友人の数」で「いない」と回答した割合は、60代男性36%、 60代女性19%、70歳以上男性53%、70歳以上女性27%
⑤ 「落ち込んだ時の話し相手」で「親しい友人」の割合は、60代男性28%
60代女性42%、70歳以上男性21%、70歳以上女性34%
あくまでも相対的な状況ですが、わが仲間たち男性陣の孤独なさみしい姿が目に浮かんできます。
高齢者の生活と意識に関する国際比較調査
内閣府が5年ごとに行っている調査があります。直近では、平成27年に60歳以上を対象として、日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンで実施されたものです。
平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果(全文)PDF形式 - 内閣府
そのなかの「社会とのかかわり、生きがい」のパートからいくつか調査結果を見てみます。
① 「病気の時や、一人では出来ない日常生活に必要な作業が必要な時、同居の家族以外に頼れる人がいるか」という問いに対する「友人」と回答した割合は、欧米3か国(アメリカ・ドイツ 45.0%、スウェーデン 43.4%)に対して、日本18.5%と非常に少なくなっています。また、「頼れる人がいない」割合は、日本16.1%が最も高くなっています(アメリカ13.0%、ドイツ5.8%、スウェーデン10.8%)。
② 「近所の人たちとの具体的な付き合い方」について、日本67.3%、アメリカ 45.9%、スウェーデン 89.7%では、「外でちょっと立ち話をする程度」が最も高くなっています。「相談ごとがあった時、相談したり、相談されたりする」割合は、日本18.6%は、アメリカ28.3%、ドイツ48.3%、スウェーデン31.2%に比べてかなり低くなっています。また、この日本の割合は、前回調査より4ポイント、前々回より5.6ポイント低い数字になっていることが気になります。
③ 「家族以外に相談あるいは世話をし合う親しい友人がいるか」についてみると、友人の性別にかかわらず「友人がいる」の割合は、日本 73.1%が、アメリカ84.7%、ドイツ82.2%、スウェーデン 90.5%に比べて低くなっています。「同性と異性の友人がいる」割合も、日本13.8%と、アメリカ41.8%、ドイツ47.6%、スウェーデン59.2%にくらべて大変低い数字となっています。一方、友人は「いずれもいない」の割合をみると、日本25.9%は、アメリカ11.9%、ドイツ 17.1%、スウェーデン 8.9%に比べて高くなっています。
「不安・関心・満足度」のパートから、「生活の満足度」を見てみます。
「現在の生活に満足しているか」について、「満足している」割合は、日本30.7%と、アメリカ 71.1%、ドイツ 50.6%、スウェーデン 61.0%に比べて 20 ポイント以上低くなっています。
前回のブログ「国連・世界幸福度ランキング」では、わが国での主観的幸福感が相対的に低いことをお伝えしましたが、主観的な満足度においても他の調査対象国に比べてかなり低いことがわかります。
日本人は、「幸福ですか?」と訊かれると「いやいや、そんなには。ほどほどですよ」と答え、「満足していますか?」と訊かれても「いやいや、それなりに、ですね。まあ、ほどほどですよ」とやや曖昧に答える性向があるのかもしれませんね。
今回は、定年後の男性はどこで何をしているのだという疑問から出発しまして、NHK放送文化研究所の調査結果から、日本の高齢男性の相対的に友人関係が希薄な状況を、また内閣府の国際比較調査から、他国に比べて、これまた相対的に友人関係が希薄であることと主観的満足度が低いことをお伝えしました。
なんか寂しい限りですが、調査による全体的な状況、平均的な状況がどうであろうとも、人生は一度きり、定年後の長い人生を豊かなものにしていくため、それぞれが努力していくことが必要です。
若いヤツなんかにはまだ負けないゾ-! お互い、カラ元気を出して頑張りましょう!!
今日も、拙い文章をお読みいただきありがとうございました。
(2020.04.11)